○豊丘村における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領

令和3年4月1日

訓令第14号

(趣旨)

第1条 この要領は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定。以下「基本方針」という。)に即して、法第7条に規定する事項に関し、豊丘村職員(会計年度任用職員及び臨時的任用職員も含む。以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 障がい者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

(2) 社会的障壁 障がい者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

(3) 障害を理由とする差別 障がい者に対し、客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情なしに、障害を理由として、障害のない者と異なる不利益な取扱いをすること又は社会的障壁の除去の実施に必要かつ合理的な配慮を怠ることをいう。

(4) 合理的配慮 社会的障壁の除去の実施を現に必要とする意思を表明している障がい者又はその家族等(障がい者がその意思を表明することが著しく困難である場合に限る。)に対し、社会通念上相当と認められる人的負担、物的負担又は経済的負担その他負担の範囲内で、障害のない者との平等な待遇を確保するために行う必要かつ適当な変更又は調整をいう。

(不当な差別的取扱いの禁止)

第3条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として、障がい者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障がい者の権利利益を侵害してはならない。

2 職員は、前項の規定の目的を達成するため、別紙の第1から第3までに規定する事項に留意するものとする。

(合理的配慮の提供)

第4条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障がい者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮の提供をしなければならない。

2 職員は、前項の規定の目的を達成するため、別紙の第4から第6までに規定する事項に留意するものとする。

(管理監督職員の責務)

第5条 職員を管理し、又は監督する地位にある職員(以下「管理監督職員」という。)は、前2条に掲げる事項に関し、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。

(1) 日常の執務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、監督する職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。

(2) 障がい者から不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。

(3) 合理的配慮の必要性が確認された場合、監督する職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。

2 管理監督職員は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、当該問題に迅速かつ適切に対処しなければならない。

(相談体制の整備)

第6条 職員が職務を遂行する中で行った障害を理由とする差別に関して、当該障がい者及びその家族等から相談等があった際に的確に対応するため、別表に定める対応窓口を置く。

2 職員は、相談等に対応する際には、性別、年齢及び状態等に配慮するとともに、対面のほか、電話、ファックス及び電子メールその他障害特性に応じた多様なコミュニケーション手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。

3 相談窓口に寄せられた相談等については、順次蓄積を行うこととし、蓄積した事例に関し、相談者の個人情報及びプライバシーに配慮しつつ、関係者間で共有を図り、以後の相談等において適宜活用するものとする。

(研修及び啓発)

第7条 障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、職員に対し、必要な研修及び啓発を行うものとする。

2 職員に対し、障害の特性を理解させるとともに、障がい者に適切に対応するために必要なマニュアル等により、意識の啓発を図るものとする。

この要領は、令和3年4月1日から施行する。

別表(第6条関係)

対応窓口

相談内容等

当該職員の所属課

・職員が行った不当な差別的取扱いや合理的配慮の不提供に関する相談・苦情等

・社会的障壁の除去のための話し合い等

健康福祉課

・直接健康福祉課に相談があった場合等

・法に関する問い合わせ等

(別紙)

豊丘村における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領に係る留意事項

第1 不当な差別的取扱いの基本的な考え方

法は、障がい者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障がい者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障がい者の権利利益を侵害することを禁止している。

ただし、障がい者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障がい者を障がい者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障がい者に対する合理的配慮の提供による障がい者でない者との異なる取扱い、及び合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障がい者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。

このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障がい者を、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障がい者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。

なお、この要領で「望ましい」と記載している内容は、それを実施しない場合であっても、法に反すると判断されることはないが、障害者基本法の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、できるだけ取り組むことが望まれることを意味する。

第2 正当な理由の判断の視点

正当な理由に相当するのは、障がい者に対して、障害を理由として、サービス及び各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。村においては、正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに、障がい者及び第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)並びに村の事務・事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面及び状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。

職員は、正当な理由があると判断した場合には、障がい者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。

なお、「客観的に判断する」とは、主観的な判断に委ねられるのではなく、その主張が客観的な事実によって裏付けられ、第三者の立場から見ても納得を得られるような「客観性」が必要とされるものである。また、「正当な理由」について、拡大解釈を行ったり具体的な検討を行うことなく、例えば単に安全の確保などという説明のみでサービスを提供しないといったことは、不当な差別的取扱いを禁止する法の趣旨を形骸化する対応であり適切ではない。

第3 不当な差別的取扱いの具体例

不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は以下のとおりである。なお、第2で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、以下に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

(不当な差別的取扱いに当たり得る具体例)

(1) 障害を理由に窓口対応を拒否する。

(2) 障害を理由に対応の順序を後回しにする。

(3) 障害を理由に書面の交付、資料の送付及びパンフレットの提供等を拒む。

(4)障害を理由に説明会及びシンポジウム等への出席を拒む。

(5) 事務又は事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害を理由に、来庁の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりする。

第4 合理的配慮の基本的な考え方

1 障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障がい者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。また、法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。

合理的配慮は、障がい者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものであり、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、障がい者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。

合理的配慮は、村の事務並びに事業の目的、内容及び機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障がい者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務並びに事業の目的、内容及び機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。

2 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障がい者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「第5 過重な負担の基本的な考え方」に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。

合理的配慮の提供に当たっては、障がい者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。なお、合理的配慮を必要とする障がい者が多数見込まれる場合、障がい者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮とは別に、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。

3 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の掲示等による意思伝達など、障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(手話通訳、要約筆記等を介するものを含む。)により伝えられる。

また、障がい者からの意思表明のみでなく、知的障害又は精神障害(発達障害を含む。)により本人の意思表明が困難な場合には、当該障がい者の家族、支援者並びに介助者及び法定代理人等のコミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。

なお、意思の表明が困難な障がい者が、家族、支援者並びに介助者及び法定代理人を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障がい者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障がい者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。

4 合理的配慮は、障がい者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援及び情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障がい者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障がい者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。

5 村がその事務又は事業の一環として実施する業務を事業者に委託等する場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障がい者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めることが望ましい。

第5 過重な負担の基本的な考え方

過重な負担については、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。

職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障がい者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。

(1) 事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的、内容及び機能を損なうか否か)

(2) 実現可能性の程度(物理的並びに技術的制約、人的及び体制上の制約)

(3) 費用並びに負担の程度

「過重な負担」とは、主観的な判断に委ねられるのではなく、その主張が客観的な事実によって裏付けられ、第三者の立場から見ても納得を得られるような「客観性」が必要とされるものである。また、「過重な負担」について、拡大解釈を行ったり、具体的な検討を行うことなく合理的配慮の提供を行わないといったことは、合理的配慮の提供を求める法の趣旨を形骸化する対応であり適切ではない。

第6 合理的配慮の具体例

第4で示したとおり、合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、具体例としては、次のようなものがある。

なお、記載した具体例については、第5で示した過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

(物理的環境への配慮の具体例)

(1) 段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をする。

(2) パンフレット等の位置を取りやすい場所に置く。

(3) 目的の場所までの案内の際に、障がい者の希望を聞いた上で適切な対応をする。

(4) 障害の特性により、頻回な離席が必要とされる場合には、座席位置を会場の扉付近にする。

(5) 疲労を生じやすい障がい者から別室での休憩の申し出があった際、別室の確保が困難な場合に、当該障がい者に事情を説明した上で、臨時の休憩スペースを設ける。

(6) 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障がい者に対し、職員が書類を押さえる等の介助を実施する、又はバインダー等の固定器具を提供する。

(意思疎通の配慮の具体例)

(1) 筆談、読み上げ、手話、点字及び拡大文字等のコミュニケーション手段を用いる。

(2) 会議資料等について、点字及び拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。

(3) 視覚障害のある委員に会議資料等を事前送付する際、読み上げソフトに対応できる電子データを提供する。

(4) 意思疎通が不得意な障がい者に対し、絵カード、メモ等を活用して意思を確認する。

(5) 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達する。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。

(6) 比喩表現等が苦手な障がい者に対し、具体的に説明する。

(7) 障がい者からの申し出があった際に、内容が理解されたことを確認しながら応対する。

(8) 会議の進行に当たり、資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚、聴覚及び知的障害を持つ委員に対し、進行を配慮する。

(9) 会議の進行に当たり、職員等が可能な範囲で委員の障害の特性に合ったサポートを行う。

(ルール・慣行の柔軟な変更の具体例)

(1) 順番を待つことが苦手な障害がい者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続き順を入れ替える。

(2) 立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、障がい者の順番が来るまで別室や席を用意する。

(3) スクリーン、手話通訳者及び板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保する。

(4) 車両乗降場所を施設出入り口に近い場所へ変更する。

(5) 障がい者の来庁が多数見込まれる場合、通常、障がい者専用とされていない区画を障がい者専用の区画に変更する。

(6) 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張等により、発作等がある場合には、当該障がい者に説明の上、障害の特性や施設の状況に応じて別室を準備する。

(7) 非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認める。

豊丘村における障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領

令和3年4月1日 訓令第14号

(令和3年4月1日施行)