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議会第1回定例会

  令和2年第1回定例議会を招集いたしましたところ、議員の皆様方におかれましては、何かとご多用のところ、ご出席をいただき、条例制定・改正並びに令和2年度当初予算案などの重要案件についてご審議頂きますことに対し、深く感謝申し上げますとともに、厚くお礼申し上げます。
 さて、1990年に話は遡りますが、東西のドイツの統一を機にして開かれたマルタ会議に於いて社会主義と資本主義の冷戦の終結が宣言されました。その後のソビエト連邦の解体を受けて、経済が地球規模に拡大して様々な変化を引き起こすグローバリゼーションの波が世界中を覆うことになりました。つまり国と国の間の経済活動の壁が取り払われたのです。
 その結果、賃金の安い発展途上国では先進国の工場として潤い、またある者は移民として先進国で職を得るなどして、世界はグローバルに発展し、発展途上国もグローバリゼーションの恩恵を受けられるようになりました。
 しかし先進国に於いては、産業構造が変化し、雇用の形態が変化したり、移民の増加で自国民の雇用が不安定になったりするなかで、さらに近年は、ITやAI、IOTなどの急速な技術革新の結果、上位数十人の資産と下位30億人の資産が同じと言うとてつもない貧富の格差の社会が出現しました。
 さらに宗教や民族、国境や政治不信によって世界的に紛争や、弾圧が各地に存在し、難民の発生や、住民の虐殺が止まりません。
 その結果、グローバルスタンダードをリードしてきたアメリカ合衆国に自国中心主義、アメリカンファーストを唱え、ポピュリズムを鼓舞したトランプ大統領が誕生し、中国習近平主席、ロシアプーチン大統領などと共に世界的な協調路線よりも自国の利益をあからさまにし、ポピュリズムを煽って国をまとめるリーダーが大国を中心に出現し、幅を利かせています。その兆候はイングランドを始め世界的な広まりを見せています。
 きな臭い兆候を見せる世界情勢の中ではありますが、令和2年、西暦2020年は東京オリンピック、パラリンピックが日本で開催される輝かしい年として記憶されるべく、この1年が平穏で肥沃に時を刻んでゆくものと感じていた矢先、中国、湖北省、武漢市発の新型コロナウイルスの世界的流行により、我が国もコロナウイルスによるパンデミックを防ぐため、公立の小中学校、高校の臨時休業の要請が安倍首相よりなされました。
 豊丘村としましても、小学校、中学校とも本日3日より臨時休業とさせていただきました。生徒の皆さんも突然の休業と言うことで大変に戸惑われていることと思います。保護者の皆様も突然の休校で日々の生活に大変影響を及ぼすかと思いますが、村といたしましても、小中学校と連携を密にとりまして、家庭生活へのしわ寄せを最低限に抑えるべく努力したいと思います。
 卒業式につきましては、小中学校とも保護者、来賓の出席は行わず、卒業生と、教職員のみで行うこととなりました。入学式につきましては現在検討中ですが、卒業式の方法を踏襲する可能性が高いと思われます。
 中学校の4月の修学旅行は延期となりました。
 国民が力を合わせて新型ウイルスのパンデミックをおさえ、医療機関の崩壊を阻止し、新薬の開発を急ぐことにより、早期に平常の生活を取り戻し、一時も早い通常の経済活動を再開させなくてはなりません。
 新型ウイルスに関連して、直接の被害を受けられている観光業、飲食、サービス業の皆様を始め、中国の生産がストップしたことによるサプライチェーンの一時的崩壊で事業に支障が出ている業種の皆様には、心からのお見舞いを申し上げます。
 今後の国の動向を注視しながら、村としましても可能な施策を遅滞なく実行していく所存です。
 一昨日のニュースによると、大勢の人が密閉空間に長く一緒にいる場所にウイルス保菌者がいると、複数の人が感染するクラスター感染が起きるようで、密度の低い空間や屋外ではあまり感染しないと説明されていました。
 この感染の分析などに、何か感染抑止の良いアイデアが潜んでいるかもしれません。
 気温も上昇して春らしくなってきました。子どもたちの外遊びも臨時休業によるフラストレーションの解消にはよろしいのかもしれません
 村民の皆様には各家庭にそれぞれの事情がおありかと思いますが、落ち着いての対応をよろしくお願いします。

 さて、令和2年度の予算編成方針について申し上げます。

○ 国及び地方財政の動向
 我が国の経済は、輸出を中心に弱さが長引いているが、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって緩やかな回復基調が続いている。その一方、通商問題を巡る緊張、中国経済の先行き、英国のEU離脱の行方等の海外経済の動向、金融資本市場の変動の影響や、消費税率引き上げ後の消費者マインドの動向に留意する必要がある。
 こうした中、政府は、令和2年度予算の大枠を決める「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太の方針)において、「Society 5.0時代にふさわしい仕組みづくり」として、「人づくり革命」と「働き方改革」を推進するとともに、地方創生に向けて東京一極集中を是正し、地方への新たな人の流れを創出するとした。また、「経済再生と財政健全化の好循環」により、可処分所得の増大と全世代型社会保障の構築を通じた消費の拡大を図るとともに、徹底したデジタル化をはじめ、次世代型行政サービスの実現を通じて、行政コストの引下げ、住民生活の安定の確保、ビジネス機会拡大・生産性向上等を実現するとしている。
 地方財政については、令和2年度地方財政対策(大臣合意)において、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、前年度を 0.7兆円上回る 63.4兆円が確保された。地方税が増収となる中で、地方交付税については前年度を 0.4兆円上回る 16.6兆円が確保される一方、普通交付税の振替財源である臨時財政対策債の発行額は前年度から 0.1兆円抑制された 3.1兆円とされた。
 本村として、以上のような社会・経済情勢、国の動向に的確に対応しつつ、さらなる創意工夫と主体的・能動的な姿勢をもって令和2年度予算編成に臨む必要がある、と認識している。

村政運営の課題
 本格的な人口減少社会が到来し、少子高齢化も進行する中、本村においても、医療、介護、健康づくり、子育て支援など少子・高齢化対策のための社会保障経費が増加傾向にあるほか、複雑化する行政需要に対応するための人件費や物件費等の経常経費も増加している。
 また、当村においては、交流学習センターゆめあるて、道の駅南信州とよおかマルシェ等の大型施設の整備はほぼ完了したものの、今後は、老朽化が進む上下水道などの公共施設や道路・水路等インフラ施設の長寿命化のための改修の本格化などに、大きな財政需要が見込まれる。
 その他、税収増につながる産業振興、定住人口増対策、2027年に予定されるリニア中央新幹線の開業を見据えた地域づくり、竜神大橋架橋をふまえた下段地区の土地利用の調整、移住定住施策の推進、道の駅を核とした交流・関係人口の増加、観光振興施策の展開等、課題は山積しており、これらの取組みを強化するための政策的経費を確保する必要がある。
 以上のように、村政が抱える課題はますます複雑化・多様化しているが、村民ニーズを的確に捉えるとともに、最小の経費で最大の効果を上げるよう努め、持続可能な村政運営を推進しなければならない。


○ 本村の財政状況

(1)財政健全化判断比率
 平成30年度決算において、経常収支比率は 77.0%と29年度の 75.9%から上昇しており、財政の硬直化は確実に進んでいる。
 標準財政規模に対し、交付税措置される部分を除いた実質的な公債費負担の比率を示す「実質公債費比率」は、27年度の 3.8%から毎年増加し続け、30年度決算では 8.3%となった。これは、近年、国庫補助事業である社会資本整備総合交付金事業(道路改良事業)の補助裏に交付税措置率が20%と低い「公共事業等債」の借入を行っていることが主な要因であり、今後もこの起債の借入を続けると、実質公債費比率はさらに上昇し、令和4年度には10%を超えることが見込まれる。30年度決算において、県内で実質公債費比率が10%を超えているのは 77市町村中11市町村(19市中3市、58町村中8町村)だけであり、将来の公債費負担を考慮すれば、今後は交付税措置率が20%以下の起債の借入は行わないようにすることが望ましい。
 また、一般会計が将来にわたって負担すべき負債(地方債、広域連合負担金等)から、充当可能な基金及び起債に対し将来にわたり交付税措置される額を控除したものを標準財政規模で除した「将来負担比率」については、実質公債費比率と同様の理由で29年度からプラスに転じており、財政状況は悪化している。

(2)歳入の見通し
 令和2年度においては、固定資産税は据置年度のため家屋新増築分が増収となり、その一方で税制改正により法人村民税は減収となることが見込まれる。また、消費税の税率アップにより地方消費税交付金については増加するが、歳入の根幹をなす普通交付税及びその振替財源である臨時財政対策債について、大きな伸びは期待できない。
 ふるさと納税寄附金については、返礼品の大半を占める地元農林産物の数量に限界があることから大幅な増加は見込めないこと、また、松茸の不作等のリスクもあることから、経常的な経費に充てないなど過度にこれに依存しない財政運営を行っていかなければならない。
 令和元年度において、なしっ子公園・林原多目的広場の整備事業、役場北側駐車場造成事業、小園住宅団地造成事業等、村単独で行う大型ハード事業を多く実施していること、また松茸の不作によりふるさと納税寄附金が例年より1億円は減収が見込まれるため、令和元年度決算における実質収支(令和2年度への実質的な繰越額)は固くみて4億円ほどしか見込めないため、令和2年度は非常に厳しい当初予算編成になることに留意する必要がある(参考 平成30年度決算における実質収支 7.5億円)。

(3)基金の状況
 基金については、30年度末において、一般会計で、財政調整基金 12.0億円、減債基金 6.0億円、その他特定目的基金 1.9億円、土地開発基金 3.6億円(土地分 0.4億円含む)を保有している。財政調整基金の規模についてはほぼ適正であるが、減債基金については一般会計の村債残高 36.5億円のうち、将来にわたり交付税で措置される分 28.6億円を除いた 7.9億円程度は保有すべきものと考えており、今後さらに 1.9億円程度の積み増しが必要である。
 土地開発基金は用地の先行取得を目的とした基金であるが、時代の流れの中で存在意義が薄れているほか、基金の規模が設置目的に比して過大となっていることから、令和2年度予算において、基金で保有している土地の一般会計による買戻し、基金規模の縮小等の見直しを実施する予定である。
 平成25年度以降、当初予算編成において、歳入の不足額を減債基金からの繰入金で補い、その後の予算執行の中で、基金からの繰入を実際には行わないようにする形での財政運営を行ってきている(当初予算における歳入の減債基金繰入金計上額 H25:2億円、H26:2.2億円、H27:1.4億円、H28:1.4億円、H29:2億円、H30:2億円)。しかし、予算編成における財源不足分を基金からの繰入で賄うこの手法は財政規律上好ましくなく、令和2年度当初予算編成においては、歳入の基金繰入額の圧縮を目指すことが肝要である。



予算編成方針
 このように村政の抱える課題の多様化及び厳しい財政状況の中、将来にわたって安定した行政サービスを持続させていくためには、従来にも増して計画的かつ健全な財政運営が求められることから、以下の方針に基づき予算編成を行いました。

(1)「第5次豊丘村総合振興計画-後期基本計画-」の推進
 令和2年度は、平成25年度~令和4年度の10か年の村づくりの基本計画「第5次豊丘村総合振興計画」の「後期基本計画(平成30年度~令和4年度)」の3年目に当たるため、本計画に掲げた施策を着実に実施に移す。
 また、令和2年度は、地方創生のキャッチフレーズの下、人口減少の克服と地域活性化に特化した「第2期豊丘村総合戦略-未来とよおか創生プラン-」(令和2年度~6年度)の初年度に当たる。第1期の計画をベースに、これに追加・削除を行う形で令和元年度末までに第2期計画の策定作業を進めていく予定であるが、ここに掲げた施策についても、KPIの達成を目指し積極的な取組みを進める。

(2)事業の見直しと「選択と集中」
 事業の「選択と集中」を徹底し、メリハリのある予算とするために、特に以下の点に留意しました。

① 既存事業については、漫然と前例を踏襲して予算要求をするのではなく、PDCAサイクルにより成果と課題、費用対効果等を検証した上で、効果の上がっていない事業は廃止、縮小、再構築することを検討する。

② 新規事業の実施や既存事業の拡大を行う場合は、「スクラップ&ビルド」を原則とし、類似事業の廃止・縮小や新たな財源の確保により対応する。
②を簡単にまとめると、むやみに新規事業をつくるのではなく、これまでの取組みを客観的根拠に基づいて徹底的に検証し、伸ばすものは伸ばす。やめるものはやめる。

③ 職員の「働き方改革」、「超過勤務手当の縮減」という観点から、重要度の低い事業・仕事を思い切ってやめるなど仕事量の減量化、事務の効率化による超過勤務時間の減少に組織全体で取り組む。

④ 事業の立案に当たっては、課内のみならず関係課間でも十分に調整を行う。

⑤ 「豊丘村行政改革大綱及び実施計画」に基づき、所期の目的が達成された事業の廃止、団体に対する補助金・交付金の廃止・適正化などを、例外なく全ての事業について検討する。特に、毎年度継続している村単独補助事業については、その必要性や妥当性を抜本的に検証した上で、補助率引下げ・廃止を可能な範囲で検討する。

⑥ 予算要求に当たっては、「村長となんでもしゃべらまい会」における村民からの意見・要望、行政評価委員会による施策・事務事業に対する意見、決算審査に係る監査委員及び議員からの意見・提案、議会からの政策提言等について、課内で内容を再確認し、費用対効果・緊急性の高いものは予算に反映させる。



令和2年度の重点事業について申し上げます。

(1)豊丘スタイルの戦略的創造
① リニア開業を見据えた産業振興・地域づくりの推進〔総務課・産業建設課〕
② 道の駅「南信州とよおかマルシェ」を核とした地域振興(小さな拠点整備構想の実践)〔産業建設課〕
③ 「人・農地プラン」の実現化のための取組みと、県営中山間地域総合整備事業の推進〔産業建設課〕
④ 新たな森林管理システムの実施に向けた取組み〔産業建設課〕

(2)地域の力で育み支えるふれあいのむら
定住対策の推進〔総務課〕
②移住による新規就農者支援と住宅対策の推進〔産業建設課〕
③防災・減災への取組み(ソフト事業)〔総務課〕
④地域防災計画の見直しと国土強靭化地域計画の策定〔総務課〕
⑤地域づくり・コミュニティ活動の推進〔総務課〕
⑥ 次期CATV施設への取組み〔総務課〕

(3)誰もが安心して健やかに暮らせる体制づくり
① 豊丘版ACEプロジェクトの推進〔健康福祉課〕
② 地域包括ケアシステムの強化・推進〔健康福祉課〕

(4)故郷を愛し輝く未来を拓く心豊かな人づくり
① 学校施設・設備の充実(特別教室へのエアコン設置・ICT関連機器の追加導入)〔教育委員会事務局〕
② コミュニティスクール・みらい塾など地域教育力の活用〔教育委員会事務局〕
③ 公民館・社会教育・社会体育事業の充実〔教育委員会事務局〕
④ 子育て支援事業(相談援助体制、保育サービス)の充実〔教育委員会子ども課〕
⑤ 経年劣化による保育園改修・修繕事業〔教育委員会子ども課〕

(5)豊丘の原風景とやすらぎあふれる住環境の創出
① 社会資本整備総合交付金事業(村道佐原線他2路線)の早期完成〔産業建設課〕
② 竜神大橋の早期完成に向けた活動強化と事業調整・推進〔産業建設課〕
③ 水道管耐震化等推進事業(老朽管更新事業)実施計画策定〔環境課〕
④ 水道水 おいしい水研究事業〔環境課〕
⑤下水道事業 経営戦略策定・BCP改定・料金審議会開催〔環境課〕
⑥ごみ減量化への取組み〔環境課〕
⑦ 空き家対策の推進〔環境課〕

(6)住民活動を支える行政運営
① リニア中央新幹線建設対策〔総務課〕
② マイナンバーカード取得申請(交付)事務の推進〔税務会計課〕
③ 戸籍システム 機器更新及びシステム改修(戸籍法一部改正・デジタル手続法)〔税務会計課〕
④ 土地開発基金の見直し〔総務課〕

(7)豊丘村総合戦略「未来とよおか創生プラン(第2期)」の取組み
① 「未来とよおか創生プラン(第2期)」各種事業の推進〔全庁〕

以上、総花的な羅列ではありますが、予算編成の骨格を申し上げました。

 さて、本日私から提案いたします案件は、条例案件8件、予算案件12件、一般案件1件であります。
 条例案件では、とよテラスの設置条例の新設、産業建設課に観光振興係を新設して道の駅で業務を行うために必要な関係条例の改正、報酬審議会の答申に基づき、常勤特別職と非常勤特別職(民生児童委員)の給与や報酬を引き上げるための条例改正などを上程いたします。
 令和元年度一般会計補正予算では、現時点での歳出過不足見込み額の追加や減額、また、ふるさと納税の歳入見込み額追加や、そのことに伴う返礼品予算の追加を補正予算として計上しました。減債基金の取崩しについては、1億5,000万円が計上されたままでしたが、なんとか自主財源確保の目途が立ったため、今年度も取崩しは取りやめることとしました。
 令和2年度豊丘村の当初予算の内容は、先ほど述べたとおりであります。
 大型事業こそ計上していませんが、第5次豊丘村総合振興計画をベースとして着実な村政を進めるため、一般会計は前年比5千400万円増の、総額45億6,400万円の当初予算としました。
 上程案件については、以上概要を申し上げましたが、詳細につきましては、副村長・担当課長よりご説明申し上げますので、ご審議、ご決定賜りますようお願い申し上げます。

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